高血圧とはhypertension
複数回の検査で、座位で測定された血圧が常に最高血圧140mmHg以上、あるいは最低血圧90mmHg以上である状態を高血圧と定義しています。 日本人の高血圧の患者様は3,000万人以上とされています。
高血圧には2種類あります。
- 本態性高血圧
生活習慣の乱れや遺伝素因、加齢などが相互に関連し合って発症すると考えられています。 - 二次性高血圧
腎血管性高血圧、クッシング症候群などによるものがあります。
高血圧症の症状
一般に、高血圧自体が何らかの症状を引き起こすことはないと考えられていますが、軽度の頭痛、頭重感や倦怠感などを訴えることがあります。
心当たりのある方は受診してください。
脂質異常症とはdyslipidemia
血液中の脂質の量が増えすぎたり、逆に少なすぎたりしてしまう状態です。
LDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪が基準値を超えている場合、もしくは HDLコレステロール(善玉)が基準値を下回っている場合に脂質異常症と診断されます。血中のコレステロールが増えすぎてしまうと(高LDLコレステロール血症)、血液中や動脈壁の中で変性して、マクロファージに取り込まれます。
コレステロールなどの脂質をたくさん取り込んだマクロファージは泡沫細胞と呼ばれ、この細胞が動脈壁にたくさん蓄積すると動脈硬化を引き起こします。
中性脂肪とは
グリセオールというアルコールの一種に、3個の脂肪酸が結合した形をしています。中性脂肪は食事の形で取り込まれて、肝臓に運ばれて脂質の粒子にパッケージされ、血中に分泌されて体内に届けられ、エネルギー源として使用されます。余ったものは、皮下脂肪や内臓脂肪に貯蔵され、必要に応じて分解されてエネルギー源として使用されます。
コレステロールとは
私たちの身体は細胞という小さな単位が集まってできていますが、全ての細胞は細胞膜という脂質に富んだ膜で囲まれております。コレステロールはこの細胞膜を構成する成分の一つです。コレステロールはステロイドホルモンやビタミンD、胆汁酸の原材料となります。
コレステロールの流れ
LDLというリポ蛋白は肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ運搬役であり、HDLは運ばれた先で過剰となったコレステロールを肝臓へ戻す役割を担っています。
脂質異常症の診断Diagnosis
LDLコレステロール (LDL-C) |
140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
---|---|---|
120~139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール (HDL-C) |
40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド (TG) |
150mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
リスク評価
管理目標
カテゴリー分類に基づいて脂質の管理目標値が設定されます。
脂質異常症の治療Treatment
脂質異常症をきたし得る原疾患があればその治療を行います。
まずは生活習慣改善が基本です。
食事療法
脂質異常症を改善する食事
-
高LDL-C血症
コレステロールと飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身、内臓、皮、乳製品、卵黄および、トランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品の摂取を抑える。
食物繊維と植物ステロールを含む未精製穀類、大豆製品、海藻、野菜類の摂取を増やす。 -
高TG血症
糖質を多く含むか菓子類、飲料、穀類の摂取を減らす。
アルコールの摂取を控える。
n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取を増やす。 -
低HDL-C血症
トランス脂肪酸の摂取を控える。
n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取を減らすために植物油の過剰摂取を控える。
運動療法
-
運動強度
中等度強度(最大酸素摂取量の約50%) -
量・頻度
1日30分以上(できれば毎日)、週180分以上 -
種類
速歩、スロージョギング、社交ダンス、水泳、サイクリング、ベンチステップ運動など
中等強度の運動を推定する方法
- 運動時の脈拍からの推定方法
心拍数(脈拍/分)=138-(年齢/2) - 自覚的な感覚からの推定方法
ボルグ・スケール(主観的運動強度):11~13(楽である~ややきつい)
薬物療法
高LDLコレステロール血症に対する治療
- スタチン
- エゼチミブ
高中性脂肪、低HDLコレステロール血症に対する治療
- ファイブラート系薬剤
- イコサペント酸エチル
-
スタチン
プラバスタチン※ メバロチン(細粒:0.5%[5mg/g]、1%[10mg/g]) シンバスタチン※ リポバス(錠:5、10、20mg) フルバスタチン※ ローコール(錠:10、20、30mg) アトルバスタチン※ リピトール(錠:5、10mg) ピタバスタチン※ リバロ(錠:1、2、4mg) ロスバスタチン クレストール(錠:2.5、5mg) -
陰イオン交換樹脂
コレスチラミン クエストラン(粉末:44.4%[9g中無水物として4g含有]) コレスチミド コレバイン(ミニ:83% 1.81g/包 錠:500mg) -
小腸コレステロール トランスポーター阻害薬
エゼチミブ ゼチーア(錠:10mg) -
フィブラート
ベザフィブラート※ ベザトールSR(錠:100、200mg)
ベザリップ(錠:100、200mg)フェノフィブラート※ リピディル(錠:53.3、80mg)
トライコア(錠:53.3、80mg)クロフィブラート ビノグラック(カプセル:250mg) クリノフィブラート リポクリン(錠:200mg) -
ニコチン酸誘導体
トコフェロール※ ユベラN
(細粒:40%[400mg/g]、カプセル:100mg ソフトカプセル:200mg)ニセリトロール ペリシット(錠:125、250mg) ニコモ-ル コレキサミン(錠:200mg) -
プロブコール
プロブコール※ シンレスタール(細粒:50%[500mg/g]、錠:250mg)
ロレルコ(細粒:50%[500mg/g]、錠:250mg) -
多価不飽和脂肪酸
イコサペント酸エチル※ エパデール(軟カプセル:300mg)
エパデールS(軟カプセル:300mg/包、600mg/包、900mg/包)
ソルミラン(顆粒状カプセル:600mg/1.3g、900mg/1.95g)オメガ-3脂肪酸エチル ロトリガ(粒状カプセル:2g/包)
※…ジェネリックあり
高尿酸血症についてhyperuricemia
高尿酸血症は痛風発作や腎障害の予備軍
高尿酸血症の症状が長く続くと、尿酸の結晶が身体のあちこちに沈着し始め、激痛が知られる「痛風発作」をはじめとする様々な症状を引き起こします。
高尿酸血症は生活習慣病や慢性腎臓病を合併しやすい
最近では、高尿酸血症は高血圧や資質異常症、糖尿病などの生活習慣病や慢性腎臓病(CKD)を合併しやすい事がわかってきました。生活習慣病のベースにはメタボリックシンドロームと言われる内臓脂肪型肥満の代謝異常がありますが、高尿酸血症も全身の代謝異常のひとつの現れとも言えます。高尿酸血症はこれらの疾患と密接に関係し、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中などを起こすリスクを高めていると言われています。
高尿酸血症診断基準
血清尿酸値が7.0mg/dlを超えるものを高尿酸血症と定義する。性・年齢は問わない。
高尿酸血症の治療開始目標値
男女を問わず、血清尿酸値が8mg/dl以上を治療開始基準とし、6.0mg/dl以下を治療中の目標値とする。
薬物療法の考慮
血清尿酸値が8.0mg/dl以上で、痛風関節炎、高尿酸血症の家族歴、種々の合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、高脂血症、虚血性心疾患、糖尿病、肥満など)がある例では薬物療法を考慮する。 また、合併症が内例では、血清尿酸値が9mg/dl以上の例では薬物療法を考慮する。
非薬物療法の併用
治療に際しては、非薬物療法の併用が大切で、食事、運動、体重調節、十分な水分摂取(1日尿量 2リットル以上)が必要である。
高尿酸血症の生活指導
肥満の解消
適度な運動 有酸素運動
ストレスの解消
食事療法
-
摂取エネルギーの適正化
1日摂取する適正カロリーの目安:標準体重×25〜30Kcal
(標準体重は身長(m)2×22で求められます) -
プリン体の摂取制限
プリン体は肉類、魚介類、内臓、ビール、豆類、などに多く含まれていますが、厳格なプリン体制限は長続きするものではありません。たんぱく質食品(肉・魚介類・大豆製品・卵)の過剰摂取を避け、肉汁や内臓を制限する程度でよいでしょう。
たんぱく質食品(肉・魚介類・大豆製品・卵・乳製品)の1日の適量は、次のようになります。たんぱく質
食品1日の適量 肉 70g程度 魚介類 80g程度 豆腐 1/2丁 鶏卵 1個 牛乳 200ml -
尿をアルカリ化する食品の摂取
尿のphは食事の影響により変化します。尿が酸性では、尿酸が溶けにくく、高尿酸血症に合併しやすい尿路結石を招く可能性があります。尿酸はアルカリ性~中性によく溶けますので、海草類や野菜、芋類などのアルカリ性食品を毎日摂りましょう。 -
十分な水分摂取(尿量2L/日以上)
水分を十分とって尿量が増加すると、尿酸の排泄量が増加するため、水分を充分補給しましょう。しかし、ジュースやスポーツドリンクでの水分摂取は、糖分を摂りすぎエネルギー摂取が過剰になりやすいため、おすすめできません。ノンカロリーの飲料(水・お茶など)で1日2000mlを目標に水分補給しましょう。 -
アルコール摂取制限
- 日本酒1合、ビール500ml、ウイスキーダブル1杯
- 禁酒日:2日/週以上
また、ビールに含まれるプリン体はアルコール飲料の中では、含有量が多いとされていますが、食品と比較すると非常に少ない量のため、ビールを特別に禁止する必要はありません。しかし、地ビールは他のアルコール飲料に比べてプリン体の含有量が多いため、控えた方がよいでしょう。アルコール 1日の適量 日本酒 180ml ビール 500ml 焼酎 90ml ワイン 100ml ウイスキー 60ml